マイクロソフトは2009年7月、2010年前半に出荷を予定している次期オフィススイート、Office 2010のテクニカルプレビュー版を公開した。開発中の評価版として、一部の開発者向けに招待制で配布。次期Officeに含まれる個別のアプリケーションについて、詳細が明らかになった。
無料のWeb版も登場
Office 2010の最大の特徴は、従来と同様パソコンにインストールして使う「リッチクライアント版」に加え、Webブラウザー上で動く「Webアプリケーション版」と、携帯電話などで利用する「モバイル版」の3種類が用意されること。これにより、Officeがインストールされていないパソコンや外出先の携帯電話などでも、いつでもどこでもOffice文書にアクセスし、閲覧・編集できる環境が整う。
●「Webアプリ版」と「モバイル版」を加えた3種類のOfficeが登場
Office 2010では、従来版と同様、パソコンにインストールして使う「リッチクライアント版」に加え、Webサービスとしてブラウザーから利用できる「Webアプリケーション版」と、携帯電話に搭載される「モバイル版」の3種類が用意される。インターネット上にファイルを保存すれば、場所を問わず、さまざまな環境から同じ文書にアクセスし、閲覧や編集が可能だ(Webアプリケーション版とモバイル版の画面は米マイクロソフトのWebサイトから引用)
特にWebアプリケーション版は、“ソフトウエア”ではなく“サービス”として提供されるOffice製品として注目されている。ブラウザー上で動くオフィスと言えばGoogleの「Googleドキュメント」があり、その対抗策と見られることも多い。マイクロソフトは、Webアプリケーション版のOfficeを個人向けに無料で提供する。リッチクライアント版に比べて機能は制限されるが、インターネットを介した共同作業など、新たな活用法が広がるはずだ。
無料のOfficeがブラウザー上で使えるとなれば、「リッチクライアント版は買わずに、Webアプリケーション版だけで済ませよう」と考える人がいるかもしれない。だがマイクロソフトによれば、リッチクライアント版とWebアプリケーション版、モバイル版の3つは、できることがそれぞれ異なり、トータルで新しい価値を生み出すものだという。
「製品を縦割りにしていかに機能を詰め込むかではなく、リッチクライアント版とWebアプリケーション版、モバイル版を3つとも使ってもらったときに1番良い価値をどう提供できるか考えている。ブラウザーだけで多くのことをやろうというのではなく、パソコン、ブラウザー、携帯電話の各端末において何が1番必要かということ。これからは、どちらがスーパーセットでどちらがサブセットかという議論はつまらない。その端末、その場所で何が役に立つかを考え、開発を続けている」(米マイクロソフトのコーポレートバイスプレジデントを務めるOfficeプロダクトマネジメントグループの沼本健氏)。3つのOfficeは場面に応じて使い分けるべきで、端末に応じた最適な機能が盛り込まれるとのことだ。
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