PowerPoint Web Appについてご説明する。最大の欠陥は、表の編集ができないことだろう。新規の表を挿入できないのはもちろんだが、既存の表について、その中の文字を書き換えることすらできない。スライド内に表を作るのはよくあること。Web版を「ちょっとした文字の修正に使える簡易版」と位置付けるにしても、表の文字を編集できなければ、十分な修正も果たせないことになる。マイクロソフトはOffice Web Appsを随時更新していくと言っているが、こうした機能の不十分さを、早急に改善していってほしいものだ。
Q:Office2010Web版「Office Web Apps」の機能について教えてください。
PowerPoint Web Appの「挿入」タブを見ると、「図」「SmartArt」というボタンが並んでいる。これを見ると、「新規の図やSmartArtを自由に挿入できるのではないか」と思うかもしれない。ところがこれらのボタンは、通常のスライド上では灰色になっていて押すことができない。実は、PowerPoint Web App上で新しいスライドを追加したときに限って利用可能になる。
具体的には、「ホーム」タブで「新しいスライド」ボタンを押すと、スライド1枚分のテンプレートが一覧表示される。ここから1つ選択すると、プレゼンテーションに新しいスライドを追加できる。テンプレートには、タイトルなど文字要素を入れたり、図やSmartArtを挿入したりするための枠(プレースホルダーと呼ぶ)があらかじめ配置されていて、この枠を選択したときにだけ、「挿入」タブの「図」や「SmartArt」のボタンが有効になる。つまり、図やSmartArtは新規に追加できるのだが、テンプレートに用意された決まった位置にのみ可能、という制限があるわけだ。
Q:Office2010Web版「Office Web Apps」の機能について教えてください。
PowerPoint Web Appでは、編集モードでも描画オブジェクトの表示は可能だった。しかし、新たに図形やテキストボックスを挿入することは、WordやExcelと同様に不可能だ。既存の図形やテキストボックス、SmartArt内の文字は編集できるものの、サイズやレイアウトの変更はできない。やはり、Web版では文字の編集が中心となると考えた方がよい。ただし、図(画像やクリップアート)に関しては、枠を付けるなどの「スタイル」を設定したり、画像ファイルを入れ替えることが可能になっている。
Q:Office2010Web版「Office Web Apps」の機能について教えてください。
Excel Web Appについてご説明する。Excel Web Appでは、図形やコメントを含むファイルを編集することができない。「図形やコメントの編集ができない」という意味ではない。これらを含むファイルは、「そもそも編集モードで開くことができない」のだ。閲覧モードでは開くことができるが、その場合も図形やコメントは全く表示されない。
コメント機能を使うと、“付せん”のようにセルにメモを貼り付けたり、共同作業時にほかの人に伝えるメッセージを残したりできる。よく使う機能だが、これがあるだけで、Web版ではファイルを活用できなくなってしまう。実用上、大きな障害となるだろう。
Q:Office2010Web版「Office Web Apps」の機能について教えてください。
Excel Web Appについてご説明する。セルの編集や数式の編集については十分な機能を備えるが、グラフを新規に作成できないのはいただけない。既存のグラフは表示できるし、セルの値を変更すれば、グラフにも反映される。Excel 2010の新機能「スパークライン」の表示にも対応するが、Excel Web App上で新たにグラフやスパークラインを作ることはできない。
このほか細かい点だが、オートフィル機能による連続データの入力、ドラッグ・アンド・ドロップ操作によるセルの移動やコピー、複数セルの結合などはできず、シートの印刷機能も備えない。Excel Web Appの編集機能は、2009年9月からテクニカルプレビューが一般公開されているが、製品版でもほとんど変化が見られなかった。画像の挿入機能や図形描画機能が省かれている点については、「Excelは表計算ソフトだから数値の編集と計算ができればよい」とあきらめるにしても、グラフの作成機能くらいは搭載してほしかった。Excelで普段よく使う機能の多くが利用できない点にはがっかりだ。